今日は、婚活における「最大の落とし穴」についての実話をご紹介します。
その昔、「上流お見合いパーテイー」というものがありました。
T会、K会、M会…官僚やお医者様の奥様が、そのお知り合いのご子息やそのまたお知り合いだけを対象にして行われていたきわめて限定的、閉鎖的な、知る人ぞ知る幻のお見合いパーテイです。
場所は都内の一流ホテル。
参加者する男性は一流企業に勤務か、弁護士やお医者様が中心。
あるいは、地主さんやビル経営者、いわゆるお金持ちか、主催者とコネのある方々。
女性のほうは、やはり有名女子大を卒業したお嬢様、堅実なお仕事をしているキャリアウーマン、親御さんがリッチだったり主催者とコネがある、あるいは一度このパーティーに参加した人からの紹介者に限られていました。
すでに主催者の方が次々にお亡くなりになり、淋しいことにパーティー自体も約10年前にぜんぶ消滅しました。
で、20年以上前のことですが…
当時婚活中の私は、親がリッチでもなくすでに30代でしたが、コネを辿りに辿って、とうとうK会に参加する切符を手にすることができました!
やったぁ!これでわたしも「上流◯◯夫人」だ!
都内の高級ホテルの大きなシャンデリアがきらめくボールルームには生演奏の弦楽四重奏が静かにかなでられていました。
男性、女性ともに参加者は50名ずつの大きなパーティーでした。
受付で参加費を支払い、どきどきしながら会場に踏み込んだ途端、
…ン?
何なの?
???
私は不思議な違和感を覚えました。
というのは、女性のほとんどが20代~30代前半でしたが
男性は、ほとんどが40代~50代だったからです。
何なの、コレって???
参加している男性や女性といろいろ交流して、ひとつの事実がわかりました。
男性=ほとんどがリピーター。中には20年以上も「通っている」常連も多い。毎回新しい女性陣に出会える為、味をしめてしまった。これが常連化に拍車をかけている。
女性=ほとんどが初めての参加。男性陣がかわりばえしないのと、年齢が「イッている」のでリピートは無し。しかし噂を聞いて参加希望者が絶えない。
こういう構図が毎回のようでした。
主催者のオバサマもそれをご存知なのかどうかは、不明でしたがとにかくなんとか100名を集めることにまず懸命。
そして、成婚者が「たまーに」出てくるのでそれが「生きがい」とのこと。
70代のオバサマからみると、40代や50代の男性でも「かわいい坊っちゃん」に見えるので何とかお世話したい親心でいっぱいの模様。
しかし、なんでまた男性は20年以上も通っているの????
なんで決まらないの?
すごく条件いいんでしょ???
なんで???
なんで???
なんで???
頭の中に「?」マークが1万個くらい浮かんだ私はもう、本来の目的も「〇〇夫人」の野望も完全に忘れ去り、20年選手たちにインタービューしてまわりました。
すると返ってきた答えはみな、同じではありませんか!
「だって、長くパーティーとかお見合いをやっているとねえ、目移りしちゃうんだよ、決められなくなってしまうんだ」
「ボクは20代のころ、白百合女子大を出たすっごく美人で性格も良い女性とお見合いで出会ったんだ。
慶応のコや聖心のコ、ポンジョのコも綺麗だったなあ…(遠い目)」
「でも、いやまてよ、来週はたしかパーティーだったな。もしかしたらこのコ以上の人が来るかもしれない。
そう思うと決められないんだよ。
お寿司だと、極上の大トロレベルなのにね。」
「パーティーだのお見合いだの、なんだかんだいろいろ来るんだよ、若いときはね。
ボクはその頃は、ハゲていなかったし、おなかも今みたいにでていなかったよ。
だから、じっと座っているだけでどんどん良いお話が来たんだよ。
ちょうど回転寿司みたいにね」
「でも30代になって、ある時ふっと気がついたんだ。
そういえば最近、大トロやウニが流れてこないな、って。
クオリティがいつのまにか下がってたんだよ。さらに数も。
でも、ここまでくるとボクの披露宴で、友達から
おう!オマエ、待った甲斐があったなあ!
ってぽんと肩をたたかれるような結婚がしたいんだよ。だから妥協できない。40代になっちゃったけど。」
「今でもたまーに、トロとかウニが来るんだよ。
でもね、あの20代の時のあのコよかったなー、このコもよかったなー、なんて思っちゃうから決められない。
それに来月のパーティーでもっといいコと出会うかもしれないし、と思うとやっぱり決められないんだよ。」
…もうこれは病気だ。
でもどこかわかるような気もしました。クワバラ、クワバラ…
「康子さんも気をつけなね~」
別れ際にオジサマたちからかけられた言葉が妙に心に刺さりました。
そうか、婚活の最大の落とし穴はこれだ!
名付けて「回転寿司」病だ。
私はこうして、じぶんの婚活と並行しつつじぶんが踏み込んだ特殊な世界のたくさんの「なんで???」を冷めた目で分析するようになりました。
インタビューに応じてくれたU氏、M氏やO氏は、もうそろそろ70代ですが未だに独身です。
私は「回転寿司」のレーンの前に座るたびにこの話を思い出します。
そして、婚活の相談者の方々にもお話をしています。
婚活中あるいはこれからはじめようと思っている方はくれぐれも「回転寿司」病には注意してくださいね。
あ、男性だけでなく女性も、ですよ。
私もあやうく「回転寿司」病になるところでしたから(笑)